導入事例 製造現場に踏み込むDX支援で年間電気料金約190万円・CO2排出量43.8トン相当の削減を実現

株式会社プリケン
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製造業における電力コストの管理は、長年にわたる現場課題のひとつだ。とりわけ精密機器を扱うプリント基板の製造現場では、品質維持のために空調を止めることができない一方、電力消費が契約上のピーク値を超えると基本料金が跳ね上がるリスクを常に抱えている。

株式会社プリケン(以下「プリケン」)は、プリント基板の製造・販売を手掛ける企業として、このデマンド管理の課題に長年向き合ってきた。担当者が手動で節電を呼びかけるアナログな運用を続ける中、契約更新のタイミングで新たな解決策を模索していた同社に対し、資本提携パートナーであるリョーサン菱洋が空調制御システム「Ai-Glies(アイグリーズ)」を提案。製品紹介にとどまらず、実証実験の設計から運用最適化までを一貫して支援した結果、年間電気料金約190万円*1とCO₂排出量43.8トン*2相当の削減を実現した

今回は、プリケン代表取締役の田中氏、品質管理部の髙橋氏・濱本氏に導入の経緯と効果を振り返っていただき、リョーサン菱洋の大泊・井上が同席した。

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*1 20249月~20258月を対象に、削減電力量測定のため30分ごとに約3分間空調制御を送風運転に切り替えて計測した本製品停止時の消費電力量と、本製品稼働時の消費電力量との差分から削減電力量を算出し、これに1kWh当たりの電気料金単価を乗じて算出しています。なお、本製品の利用料金は別途発生します。

*2  20249月~20258月を対象に、削減電力量測定のため30分ごとに約3分間空調制御を送風運転に切り替えて計測した本製品停止時の消費電力量と、本製品稼働時の消費電力量との差分から削減電力量を算出し、これに東京電力エナジーパートナー株式会社が公表するCO2排出係数(各年度の最新公表値)を乗じてCO2削減量を算出しています。

課題
プリント基板の製造現場で電力使用量の増加とそれに伴うコストが経営課題となっていた。
電力ピーク時には担当者が手動で電力使用量の調整を行っており、現場の業務負荷となっていた。
解決策
自動空調制御システム「Ai-Glies(アイグリーズ)」を導入。
効果
製造現場の製品品質と執務環境の快適さを維持したまま、年間電気料金約190万円・CO2排出量43.8トン相当の削減を実現。
  • 株式会社プリケン

    https://www.priken.co.jp/home

    プリケンは、「プロトタイプKIBANを進取果敢に多彩な技術力を駆使して最適リードタイムで提供し社会を一歩先の未来へつなぐ」をパーパスとしてプリント配線基板の設計・製造・部品実装・部品調達・メタルマスク製作を行っています。“工場” ではなく、“研究所” であるという創業の思いを胸に、お客様の製品企画段階から多種多様なニーズに応えるプリント基板を製造し、開発をサポートしています。

プロジェクトメンバー

  • 株式会社プリケン


    代表取締役社長

    田中 信也氏

  • 株式会社プリケン


    取締役 品質管理部部長

    髙橋 孝司氏

  • 株式会社プリケン


    品質管理部主任

    濱本 木綿子氏

  • 株式会社リョーサン


    技術本部 応用開発部 プロフェッショナル

    井上 貴和

  • 株式会社リョーサン


    ソリューション事業本部 P&Mシステム部 営業第一課 課長

    大泊 博之

※所属・肩書等は取材当時のものとなります。

夏のたびに担当者が受話器を握る。アナログな運用が抱えていた限界

― 電気代の問題が社内課題として意識されるようになったのは、いつ頃のことでしょうか?


プリケン 高橋氏:電気代が社会問題になるずっと前から、私たちは製造現場での電力使用を気にかけていました。精密なプリント基板を扱う工場は、一般的なオフィスよりも熱の発生量がどうしても多くなりますし、夏場のエアコンは止めるわけにいきません。 一方で、電力消費が契約のピーク値を超えると、基本料金がぐっと跳ね上がってしまう。そのリスクを管理するために、以前から電力使用量が見えるデマンド監視装置を使っていたんですが……正直に言うと、その運用は驚くほど人の手に頼ったものだったんです。

プリケン 濱本氏:そうなんです、他の製品をずっと使っていたんですが、正直なところ運用はかなりアナログでした。電力がピークに近づくと大きな時計みたいな装置で知らせてくれるんですが、そこから先は人間がやるしかない。私が現場に電話をかけたり、社内放送をかけたりして「ちょっと節電しましょう」と呼びかける。製造装置は止められませんから、対応できるのは基本的にエアコンだけです。

高橋氏:もちろんそれでも一定の効果はありました。でも対応が遅れることもあるし、毎日毎日のことになると間に合わなくて少しずつ基本料金が上がっていってしまうこともある。なにより担当者の負担が大きかったし、「確実に抑えられる」という保証がなかったんです。それに、使っていた装置は契約期間7年で、更新のタイミングで別のものに切り替えたいという気持ちはずっと持っていました。

プリケン 田中氏:節電システムというのは、正直なところ導入前に評価しにくいイメージを持ちやすいカテゴリなんですよ。似たような製品はいくつかあることは知っていましたし、良さそうに見えても実際に入れてみて失敗することもある。だから自分たちでもいくつか比較検討はしていたんです。ただ、実際に使ってみないとわからない部分は大きかった。

現場の不安を、2社協力で行った実証実験で解消

―Ai-Gliesの導入を決めた経緯を教えてください。


高橋氏:Ai-Gliesはリョーサン菱洋さんから教えてもらいました。Ai-Glies以外の他社製品も実際に見ていたんです。最終的にリョーサン菱洋さん経由でAi-Gliesを選んだ理由は、実際にリョーサン菱洋さんと共に運用テストをし、社員が誰も節電していることに気づかなかったからです。リョーサン菱洋さんが運用の設計まで一緒に考えてくれるという安心感も大きかったです。

リョーサン菱洋 井上:プリケン様の方でいくつか候補を絞られていた中で、弊社にご相談いただいたんですよね。Ai-Gliesは弊社でも取り扱っており、理解が深かったんです。同じ効果を謳った製品でも、誰がどうサポートするかで価値が変わると思っています。特に設定の最適化、つまりどんな運用設計にするかという部分が一番肝心。弊社であればそこまで踏み込んだご提案とサポートができると考えてご提案しました。 それに、プリケン様との関係性があるからこそ、「まず実証実験をやりましょう」と積極的にご提案できた面もあります。うまくいかないかもしれないリスクを含めて試してみましょう、という提案はなかなか普通の取引ではしにくいことです。

田中氏:製品メーカーと直接やり取りすると、どうしても良いところしか聞かせてもらえない面がある。リョーサン菱洋さんという第三者の目が入っているというのは、私たちにとってとても重要でした。いいものはいい、ダメなものはダメと言えます。うちの中でも最初からそういうスタンスは明確にしていましたし、リョーサン菱洋さんもそれを理解してくれていた。忖度なしに判断できる関係だからこそ、今回の選定が意味を持ったと感じています。


―実証実験はどのように進めたのですか?


高橋氏:確認したかったのは主に3点です。節電効果が本当に出るか、従業員の体感温度や労働環境に悪影響がないか、そして精密機器を扱う現場で急激な温度変化が製品品質に影響しないか。実は従業員には事前に何も言わずに試験運用を始めたんです。あえて知らせずに、後でインタビューして体感変化の有無を確認しようと。結果、多くの場所では「温度の変化がわからない」という反応でした。これは確認できたので、全社での導入を判断する大きな材料になりました。

井上:正直に言うと、実験の初期にたまたまですが社長室だけ少し強めの設定になったことがあって……。節電効果を最大に引き出そうと欲張りすぎた設定にした結果、暑くて快適性が損なわれてしまいました。その経験から、節電効果と快適性のバランスをとる運用設計の重要性が改めてわかりました。過剰な設定は労働環境に影響する、それを実験で把握できたことは、本導入後の設計に大きく活きています。

田中氏:そんなこともありましたね(笑)。そのときはたまたまでしたが、社員が暑い思いをするより私は自分がしたほうがいいと思いますし、それでよかったですよ。最初は反対意見もありましたね。社員の中には「空調を絞ったら暑くて仕事できないんじゃないか」って。でも実験の結果がそれを覆してくれた。嫌われ役を引き受けてくれた高橋と濱本の2人は、本当にいい仕事をしてくれました。

高橋氏:品質面も、実験を通じて問題がないことが確認できました。精密機械があるフロアでも急激な温度変化は起きていなかったし、製品の品質に影響はない。ただ、実験結果に基づいて、導入に適したフロアとそうでない場所は見極めました。全フロア一律にするのではなく、場所によって設定を変えることも今回学んだことです。

本システム導入を推進したプリケンの髙橋氏と濱本氏

年間約190万円削減、CO2を43.8トン相当減。数字が証明した、選択の正しさ

―導入後の具体的な効果を教えていただけますか?


高橋氏:導入して1年間の電気料金削減効果が約190万円。初期投資分は今はもう償却が終わっていますので、これからも使い続けるほど利益になる。CO2排出量は43.8トン相当を削減した実績が出ています。この数字は本当に細かく見える化されていて、毎回データを見るたびに驚きます。 以前のデマンド監視装置の頃は、ピーク電力を超えてしまって基本料金がどんどん上がっていくリスクがありました。今は自動で制御してくれるので、ピーク電力を確実に抑えられる。しかも1年中稼働しているので、夏だけでなく通年の効果が出ています。以前は夏の一番暑い時期にだけ頑張って節電活動をしていたのと比べると、まったく別次元の話です。

濱本氏:何よりありがたいのは、担当者が現場に電話をかけて回る必要がなくなったことです。それには人手も時間もかかって、しかも確実ではなかった。今は自動でやってくれるので、製造現場の方に余計な負担をかけずに済んでいます。もちろん、暑いという声があれば微調整することもできますが、基本的には現場の方の仕事に集中してもらえる環境になりました。

田中氏:今回の導入は、リョーサン菱洋さんと資本提携をしてから最初の具体的な成果事例になりました。社員の中には、提携当初に不安を感じていた人もいたと思うんです。だから、こういう事例を積み重ねることで「提携してよかったね」と実感してもらうことが大切だと思っていました。その意味でも、この導入はとても良いスタートになってくれました。

濱本氏:本格稼働が始まった後、リョーサン菱洋さんから「Ai-Gliesのコンセントが外れている可能性があります。確認してみてください」とご連絡いただいたんです。見てみると、実際にその通りだった。導入後もちゃんと見てくれているんだなぁと感動しました。

リョーサン菱洋 大泊:お役に立ててよかったです。導入後も運用をきちんと見ていくこと。それが私たちの仕事だと思っています。

資本提携は「安心材料」の確保。中小企業の孤独を救った「友達以上、家族未満」の距離感

―改めてですが、リョーサン菱洋とプリケンは資本提携もされており、一般的な顧客とベンダーの関係とは少し違うのかなと感じています。


田中氏:そうですね。リョーサン菱洋さんには、弊社の株式を20%持っていただいています 。よく100%子会社化という話も聞きますが、私たちはあえてこの「20%」という形を選びました。この距離感こそが重要なんです。私はよく、リョーサン菱洋さんのことを「友達以上、家族未満」と表現しています 。お互いに独立した経営を保ちながら、困った時には真っ先に相談でき、ときには率直に「それはダメだ」と言い合える。そんな理想的な関係性なんです。


―中小企業の経営者として、そのようなパートナーを持つことの価値をどう感じていますか。


田中氏:中小企業の経営者は相談できる先が本当に少ない。自分一人で会社を成長させることの限界を感じていたときに、大企業であるリョーサン菱洋さんとコラボレーションできることになった。これは大きな安心材料になりました。悩みがゼロになるわけではありませんが、「一緒に考えてくれる相手がいる」というだけで、経営の質は確実に変わります。

率直に言い合える距離が、双方を強くする

―実証実験がうまくいったのは、両社の良い関係も影響してそうですね。


田中氏:すでにお伝えしていますが、私たちプリケンとリョーサン菱洋さんは「友達以上、家族未満」。友達だとちょっと遠すぎる、でも家族、兄弟とか親子というほど密着した関係でもない。その中間が今の私たちの距離感だと思っています。近すぎず遠すぎず、それでも本音でいろいろ言い合える関係。リョーサン菱洋さんと提携のお話を進めていく中で、双方から自然にそういう関係が理想であると話すようになっていました。 中小企業が一人でやり続けることの限界を感じていたし、もっと会社を良くしていきたいという気持ちがあったので。だから出資は受けながらも、80%は自分たちで判断できる体制を保っている。その絶妙なバランスが今の関係性を生んでいると思います。

大泊:田中社長がおっしゃる通り、この関係は本当にやりやすいです。今回の導入でもそうでしたが、「これは使えない」と思えばちゃんと断っていただける。忖度なしで評価してもらえるからこそ、我々も本気で提案できる。それが双方にとっていい結果につながっています。

井上:プリケン様はフランクにいろいろお話しいただける存在で、本当にありがたいです。和やかな場だけでなく、厳しいお話もちゃんとしてもらえる。メリハリのある関係性を築けていることが、何より信頼の証だと感じています。


― 資本提携の件、社員の方には、この関係性についてどのように伝えられたのでしょうか?


高橋氏:提携当初、社員の中には不安に感じている人もいたと思います。自分たちの会社がどうなってしまうんだろう、という心配ですね。だから説明の場を複数回設けて、こういう関係だということを丁寧に伝えていきました。今回の導入事例がその不安を解消する一つの証拠になってくれたと思います。いいものを提案してもらって、試して、実際に効果が出た。こういう具体的な事例が積み重なることで、社員の中にも「提携してよかった」という実感が広がり、安心してもらえるといいなと思っています。

「プリケンとリョーサン菱洋は本音でいろいろ言い合える関係」と語るプリケンの田中氏。

「共に成長したい」これからのプリケンとリョーサン菱洋

―今後、両社でどのような取り組みをしていきたいとお考えですか?


田中氏:今回は電力削減という、私たちが明確に認識していた課題への対応でした。でも実は、私たちがまだ気づいていない課題というのが、もしかしたらたくさんあるかもしれない。リョーサン菱洋さんは多くの製造現場を見ていて、世の中のトレンドや法規制の変化もよく知っている。「こういう取り組みが今トレンドになっている」など、そういうことを教えてもらえる機会があるのは、本当にありがたいことです。

高橋氏:課題って気づいているものもあれば、自分たちで気づいていないものもある。リョーサン菱洋さんには、私たちが気づいていない課題も見えていると思います。これからも積極的に現場を見て、提案してもらえればと思っています。

大泊:まさに私たちがもっとやりたいことがそれです。もっと現場を深く理解して、客観的な目線から気づいたことをどんどんお伝えしていきたいです。他にも「こういうニーズがあるのですが、こういうもの作れませんか」なども提案していきたいと思っています。

―社員さんの中には提携に不安な方もいたとのことでしたが、今回いろいろなお話を聞いて非常にポジティブな提携だなと感じます。


濱本氏:そうですね。今は社員もそう感じてる人が多いと思います。うちって社歴の長いスタッフが多いんですよね。それ自体はすごく良いことなんですけど、裏を返すと「自社の常識しか知らない」という状態になりやすいとも言えます。リョーサン菱洋さんとやりとりする中で、自社にいるだけでは気づかなかった視点が結構あるんです。製品を導入する以上の意味があるというか、自社の外を知る機会としてもすごく大切にしています。

大泊:それは嬉しいですね。社員研修も双方の場を提供しあっているんですよね。弊社社員が工場の現場に入らせていただき学べることは非常に貴重です。いつもありがとうございます。

田中氏:私個人で言うと、資本提携をする前と後で、悩みの量が劇的に減ったかというと、そんなことはないんですよ(笑)。経営者の悩みは尽きない。でも、安心材料は確実に増えました。相談できるパートナーが増えた、という認識です。 今後はプリケンの強みであるプリント基板技術を、リョーサン菱洋さんの広い販路やネットワークを活かして広げていきたいという期待もあります。基板と他の商材を組み合わせた提案や、若手社員の研修・人材交流も含めて、お互いの強みをぶつけ合いながら共に成長していきたいですね。

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