導入事例 ウエルシアポータルのスマホ化で「現場の隙間時間」年約26,000時間削減。お客様対応の時間を生み出すDX戦略

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全国約2,200店舗を展開するウエルシア薬局株式会社(以下、ウエルシア薬局)。売上高1兆円超、約4万人規模の従業員を抱える国内有数のドラッグストアグループが、「現場の隙間時間を削り、お客様対応の時間を生み出す」という本質的な課題に挑んだ。
それは、店舗に数台しかないPCでの閲覧だった「ウエルシアポータル」をスマートフォンでも見られるようにし、現場のスタッフ全員に導入するプロジェクト。指揮したのは、システム部門を統括する横山氏と、阿部氏。両者とも店舗スタッフ出身だ。
リョーサン菱洋は、ウエルシア薬局に10年にわたり「ウエルシアポータル」の開発、運用・保守を提供し、継続的に伴走してきた。
「ウエルシアポータル」とは、本部から店舗への業務指示を一元管理するシステムである。リョーサン菱洋が提供するシステムを基盤に、ウエルシア薬局の現場の声を取り入れながらカスタマイズ開発をした。
広く店舗展開をするドラッグストアのDXはどのように進化したのか、その舞台裏を紐解くため、ウエルシア薬局の横山氏と阿部氏、リョーサン菱洋の大足、大沼に話を聞いた。
- 課題
- 店舗に1〜2台しかないPCでしか「ウエルシアポータル」を閲覧できず、確認のために店内を往復したり、PCの順番待ちが発生していた。
現場スタッフ約4万人の“隙間時間のロス”が積み重なっていた。 - 解決策
- 「ウエルシアポータル」をスマートフォンでも閲覧できるように改善。
スタッフが手元で業務指示やスケジュールを確認できる環境を整備。 - 効果
- 1店舗あたり1日わずか2分の削減としても、全国で月2,200時間、年間26,000時間以上の削減効果に。
現場の移動・待ち時間が減り、お客様対応に使える時間が増加。
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ウエルシア薬局株式会社
https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/
事業概要:調剤併設型ドラッグストアチェーン展開
本社住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田2-2-15
プロジェクトメンバー
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ウエルシア薬局株式会社
情報システム本部 IT企画部長
横山 貴洋様
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ウエルシア薬局株式会社
情報システム本部 IT企画部 課長
阿部 和彦様
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リョーサン菱洋株式会社
ソリューション事業本部 受託サービス部
営業第1グループ グループリーダー大足 慎
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リョーサン菱洋株式会社
ソリューション事業本部 ソリューション技術部
運用・保守グループ エキスパート大沼 健一
※所属・肩書等は取材当時のものとなります。
10年来の信頼関係が生んだ、1万台規模のスマホ化プロジェクト
― 今『ウエルシアポータル』のスマホ化プロジェクトが進んでいますが、ウエルシア薬局とリョーサン菱洋の取り組みが始まった頃の課題を教えてください。
ウエルシア薬局 横山氏:当初の課題は本部から店舗への情報伝達が電話やメールなどバラバラで、現場が混乱するという課題でした。そこでリョーサン菱洋さんへ相談し、情報のハブとなる「ウエルシアポータル」を導入しました。 当時はかなり効率が良くなり、今でいうDXの成功例だったかと思います。
ウエルシア薬局 阿部氏:リョーサン菱洋さんは、パッケージ機能だけのご提案ではなく、弊社の要望や店舗の業務フローをヒアリングするなど一緒に考えて頂きました。
リョーサン菱洋 大足:常に本音で、本気で向き合っております。私たちリョーサン菱洋がウエルシア薬局様に伴走させていただいているのは、2016年からで約10年間です。長いお付き合いの上でスマホ化プロジェクトが始まったので、今回も期待に添いたいと考えています。
横山氏:ウエルシア薬局では、店舗でのDXを加速させるために、従業員全員が持てるスマホ端末を用意しました。また、約1万台あるスマホ端末でウエルシアポータルを見られるようにするために、サーバーへのアクセス増大を予測し、環境強化も実施しています。非常にスピードが求められた中、リョーサン菱洋さんには迅速に対応いただき、店舗の混乱もなくスマホ化をスタートすることができました。
「移動時間」「PCの順番待ち」 などの隙間時間は、全国で年2万時間以上あった
― 今回、ウエルシア薬局のDXについて詳細を聞かせてください。
ウエルシアポータルを「スマホで見られるようにする」という決断に至った背景は何でしたか?
横山氏:現場のスタッフはいつも「お客様にしっかり対応したい」と思っています。しかし、品出しなどやることは大量にある。常に「人が足りない」という課題を持っているのでそれらの課題にメスを入れる必要がありました。これまでの運用では、本部からの業務指示を確認したり、スケジュールをチェックしたりするために、店舗に 1〜2台しかないPCの場所までわざわざ戻らなければなりませんでした。広い店内を往復する移動時間、PCに先客がいれば順番待ちの時間が発生。バックヤードでモノを探す時間や、店内で他スタッフを探す時間もあります。こういった「隙間時間の無駄」をどうにかして、その時間をお客様に丁寧に接する時間にしたい、と考えていました。ウエルシアポータルの確認を含め、PCで見ていたものがスマホで見られるようになれば 、こういった課題が解決できるのではないか、と。
阿部氏:ウエルシア薬局では全国に約2,200店舗、約4万人規模の現場スタッフがいます。 削減時間を小さく見積もって、1店舗1日2分だとしても、全国で1か月2,200時間、年間だと26,000時間以上。課題解決できれば、大きな効果です。

——そう語るのは、ウエルシア薬局の横山氏。
「耳に合わない」という課題解決のためにインカムもオリジナルのものを製作
― 1人あたりは少しの隙間時間でも、全社レベルではものすごい時間になりますね。
そこを改善できるのは非常に大きいと感じますが、その課題解決のために、最初に何をしましたか?
ウエルシアポータルに限らず、ウエルシア薬局が実施したDXを教えてください。
阿部氏:まずは現場ヒアリングに時間を割きました。店内でスタッフがどう動き、どの瞬間に情報を必要としているのか。実際に店舗に足を運び、スタッフに聞き回りました。「どうですか?」という聞き方だとなかなか具体的な課題があがらないので「こういう場面で困っていることは?」という風に、答えやすい形の聞き方を心がけたり。
横山氏:一気に全店舗、全従業員にスマホを渡すのではなく、1店舗での小規模テストから次は2店舗、そして全体の約1割の店舗数、といったかたちで段階的に実証実験を広げました。そこで現場のポジティブな反応とコストメリットをしっかりと固めた上で、全店導入へと舵を切ったのです。
― ヒアリングの結果、どんな課題があがってきましたか?
阿部氏:いろいろありますが、「インカムが耳に合わない」という意見も結構多くありました。インカムは従業員全体で必要事項を連絡しあう、店舗では重要な存在です。
横山氏:だからインカムは、自分たちでカスタムしてOEMで作ったんですよ。それに合わせてマイクもオリジナルです。従業員数が多いので、一人に1個渡すという背景と、我々がやりたいことを考えると、作ったほうがいちばんコストかからないという判断でした。
大足:インカムまで従業員の方々に合わせて作られていたことには、驚きました。
大沼:現場の声をしっかり拾っていらっしゃるんですね。私たちも現場主義を徹底しています。もしよかったら、ウエルシア薬局様の店舗へ横山さんと阿部さんとお伺いし、現場のお声を聞いて、ウエルシアポータルの改善に繋げたいです。

ひとり一台のスマホで劇的変化。現場の人たちが本来やるべきことに集中できる環境を作ることがDXの本質
― インカム導入というDX、そしてリョーサン菱洋が伴走した「スマホでのウエルシアポータル導入」によって、現場のコミュニケーションや働き方はどう変わりましたか。
横山氏:インカムやマイク、スマホで見られるポータル効果は確かな改善が見られました。以前は、広い店内で「店長、どこにいますか?」と人を探し回ったり、物の場所がわからなくて探すという時間が多かったのですが、直接その人にスマホで通話すればいいし、物の場所は写真ですぐ共有できます。導入後、現場からは「バックヤードへの往復が減った」「お客様を待たせることが減った」という嬉しい声が多数寄せられました。試算した年間2万6000時間の削減効果が、実際に形になってきていると実感しています。
また、本部からの指示の渡り方も、かなりスムーズになりました。スタッフは自分のスマホを開けば、今日自分が何をすべきかが一目でわかります。スマホでのスタッフ同士の通話は録音され、データを活用することでさらに改善に活かされていくんです。
― 日々、改善に必要なデータが蓄積されていってるんですね。
横山氏:ドラッグストアの現場は常に人手不足との戦いです。作業に追われる時間を減らし、いかにお客様と対面する時間を増やすか。スマホを持つことで、スタッフは売り場に立ちながら、在庫の有無や商品の詳細、さらには本部からの重要なお知らせをリアルタイムでキャッチできます。
阿部氏:例えば、お客様から「この商品、在庫ありますか?」と聞かれたとき、以前なら「バックヤードで確認してきます」と言って倉庫まで走っていました。お客様を待たせてしまうし、その間に他のお客様の対応もできない。でも今は、その場でスマホを開いて「あります、すぐにお持ちします」と即答できる。これが、お客様満足度であるCSだけでなく、従業員満足度であるESの向上にも直結しています。
横山氏:現場スタッフからポジティブな意見が上がってくるのは嬉しいですよね。通常、新しい機械の導入をすると「使い方がわからない」と言った不満が上がるものですが、ウエルシアポータルのスマホ化 に関してはそうではありませんでした。比較的高齢なスタッフもいますが、今は年齢に関わらずみんなプライベートでもスマホを触っているので抵抗がないのでしょうね。
阿部氏:我々の仕事は現場の人たちの迷いを減らし、集中できる環境を作ることです。無駄な移動や待ち時間、探す時間を削減することで、お客様と向き合う時間、商品知識を深める時間を生み出す。それが本質的なDXだと考えています。
― リョーサン菱洋側から見て、今回のプロジェクトで特に意識された点を教えてください。
大足: 意識したのは、現場のスタッフの方々にとっての「迷わない使いやすさ」です。ウエルシア薬局様には幅広い年齢層のスタッフがいらっしゃいますし、接客の合間のわずかな時間で操作しなければなりません。そのため、直感的に「こう操作すればこう動く」と分かるデザインを徹底しました。
大沼: スマホの画面崩れがないかといった検証も、実機を揃えて念入りに行っています。そして実際に運用が始まると、どうしても「ここが使いにくい」「もっとこうしたい」といった現場ならではの課題が出てくるものです。そのため、現在は2週間に一度の定例会を設け、密にコミュニケーションを取りながら、継続的にポータルの改善を続けています。

ツルハとの統合で売上2兆円超。「現場主義」を支えるテクノロジーパートナーとしての期待
― 今後の展望や、今後リョーサン菱洋に期待している点を教えてください。
横山氏:これからツルハホールディングスとの経営統合により、グループ全体で約5,600店舗、売上高2兆円超という国内最大級のネットワークが誕生します。従業員数も、ツルハグループを合わせて10万人規模になる。統合後の規模は国内では前例がなく、お手本を見つけられない。つまり自分たちで作るしかないのですが、私はとてもポジティブに捉えています。この巨大な組織を支えるのは、やはり「現場」です。リョーサン菱洋さんには、今後も私たちの「現場主義」をあらゆるテクノロジーで支え続けてほしいと考えています。
阿部氏:ポータルはもっと拡張性を持てるなとも感じているので、是非、現場を直接見ていただいて改善の提案をいただければなと思っています。
大足:是非店舗にご一緒させてください。経営統合でさらに拡大する組織を支えるのは、やはり現場で働く皆さまの力だと感じています。私たちは、『店舗運営をより効率化し、お客様と向き合う時間を増やす』というウエルシア薬局様の取り組みを、テクノロジーの面からしっかりと支えていくことを使命と考えています。スマホでのウエルシアポータル活用はその要であり、現場から寄せられるUIを中心とした改善の声も丁寧に応えたいです。
横山氏:今あるものだけではなく、今ないものでも現場に役立つものを提案いただけることも期待しています。「ウエルシアポータル」の枠を超えた状態で、一緒に考えていきたいなと考えています。
大沼: そうですね。ウエルシア薬局様にとって“なくてはならないパートナー”であり続けられるように、現場の“課題やお困りごと“によりそいながら、「ウエルシアポータル」の枠に留まることなく、私たちのサービスを進化できるように提案させていただきます。




